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現状維持から抜け出せない苦しさとメカニズム
「変わりたいけど、変われない」
僕も頭の中で理想の自分はいるけど、なかなか行動に移せないという時期がありました。
この時期ってかなり辛いんですよね。
なぜか現状の自分に止まってしまおうとする、変わるのが怖く感じてしまう。
これは脳科学では『ホメオスタシス(恒常性(こうじょうせい)維持機能)』と言われています。
ホメオスタシス(恒常性)はもともと医学用語で、暑くなったら汗をかいて体を冷やす、寒くなったら体を震わせて体温をあげるという体のメカニズムで説明されていました。
しかし、これが日常の生活レベルにも当てはまるということがわかっています。
例えば就職してすぐ、20万円程度のお金をもらったら「やったー!」と嬉しくなると思いますが、それが続くと20万円が当たり前になり、今度は「物足りない」と思うようになると思います。
そこで例えばボーナスで一気に50万円もらうと「やったー!」と思い、ご褒美に何か買ったりして気づいたらいつも通りの生活に戻っていたりすると思います。
つまり、意識の中で「自分は20万円が当たり前」と思うと、50万円は”異常”となり、暑い時に汗をかくように手元からお金を無意識に出してしまうという理屈です。
ちょっと信じられないかもしれませんが、思い当たる人も多いでしょう。
なぜ世の中の自己啓発ではダメなのか?
じゃあどうやってこの現状から抜け出すのか?その脳科学を今回はシェアします。
「夢を叶えたイメージをしましょう」
よく自己啓発や願望実現系で言われる話です。
確かに脳には『RAS』という自分にとって大切な情報だけを取り入れる機能があります。
RASによって人は意識したもの以外を見なくなります。
例えば、人は自分の鼻の頭がずっと視界に入っていますが、意識してなければ見えなくなります。
もう少し実体験してみましょう。
「赤、赤、赤」と言っていると、目が無意識に赤いものに反応するようになったりするのもそのせいです。
「赤、赤、赤」と言いながら下の画像を見てみてください。
嫌でも無意識に赤が強調されて見えるのが実感できると思います。
また例えば、時計を買う時は『デザイン』に注目すると思いますが、時計を買った後は『時間』に注目するので、自分が持っている時計のデザインを正確に覚えている人はあまりいなかったりします。
これが「夢を叶えたイメージ(意識)をしましょう」という理由で、実際に大切なんですが、それだけではダメなんですね。夢は叶いません。
脳科学ではその一歩先が重要であると言われています。
夢を叶える脳の使い方
まず、なぜ「イメージしていれば夢は引き寄せられます」という理論が嘘なのか?というと、成功した自分をイメージすることで出来上がるのは『架空の人物』です。
自分にとって成功している自分とは「こうなれたらいいな。」という架空の存在であり、夢の中のヒーローです。
つまり、脳にとっての認識は「夢を叶えた自分と、今の自分は無関係の人物だ」という認識になります。
この状態のときに脳が引き寄せるのは、「そうなれたらいいな。」という現実です。
・成功している人がうらやましい
・自分はなんで成功しないんだ
・夢が叶わなくて苦しい
という「そうなれたらいいな。」という状態が叶います。
脳の認識としては自分の考えたことが成立・達成しています。
脳は無意識に「そうなれたらいいな」という状態を実現するために頑張るので、意識で「成功したいのに!あありたいのに!」と思っていても、無意識が働かないんですね。
無意識が動き出す考え方
じゃあどうすればいいのか?というと、「将来理想を叶えているなら、今自分はどう在るべきか?」と考えることです。
…。
こうすると何が脳内で起こるのか?というと、「今と未来の自分は同一人物だ!!」という認識が起こります。
そうすると脳内で『認知的不協和』という現象が起こります。
人はこれを解消するために、自身の態度や行動を変更すると考えられている。
例えば「タバコを吸うことは体に悪いことだ」と思っていても、吸ってしまっている自分がいた場合、思考と行動にズレ(認知的不協和)があることになる。 その時に「タバコを吸うことでストレスが解消されるからいいことだ」とズレを解消させる(認知的不協和の解消)為に態度を変える。
簡単にいうと『認知的不況和』とは2つの矛盾するズレを、どちらか1つに合わせようという動きのことを言います。
例えば二重人格の人とかもそうなんですが、自分の頭の中には2つの人格を持っています。でも、表(現実)に表現できるのは一度に1人だけです。
つまり、「そうなれたらいいな」という考え方は、「今の自分と未来の自分は別々の人」という考え方なので、脳にとっては今の自分を変える必要性を感じません。
しかし、「そうなりたいなら、今何をしているべきか?」という考え方は、「今の自分も未来の自分も同一人物」という考え方なので、脳にとっては今の自分を変える必要性を無意識に感じます。
だまし絵で実感できる脳の機能
これは有名なだまし絵『ルビンの壺』で実体験することができます。
黒い部分を見ると壺(花瓶のようなもの)、白い部分を見ると人が向き合っている顔に見えます。
壺と人の顔を同時に見ようとしてください。ピコピコと切り替わるのがわかるはずです。
つまり、一つの絵から一度に見ることができるのは1つだけということです。
「未来の理想を叶えているなら、今自分はどう在るべきか?」というのは、未来の自分と今の自分は同一人物(一つの絵)だと認識する思考になります。
すると「今の自分」と「未来の自分」にはズレ(認知的不協和)があり、どちらか一方を選ぶことになります。
つまり、ルビンの壺のように、脳にとってはどちらかを選ぶ必要が出てくるんですね。
そこで「未来の自分」という方を選ぶと、脳内でとあることが起こります。
重要なものが変われば、世界の見え方が変わってくる
「未来に理想を叶えているなら、今の自分はどう在るべきか?」と考えると脳内で何が変わってくるのか?ですが、現象レベルで『自分にとって重要なもの』が変わってきます。
例えばですが、現状維持の時は
- 行動しないこと
- 明日も今日と同じであること
- 時間やお金は娯楽に使うこと
が大切だったかもしれません。
でも「未来に理想を叶えているなら、今の自分はどう在るべきか?」という思考にすると、重要性が大逆転したりします。
- 行動しないことはリスク!行動しなければ!
- 明日も今日と同じであることはリスク!変化しなければ!
- 時間やお金は娯楽に使うことはリスク!未来に自己投資しなければ!
という風に “無意識に感じる”ようになります。
あとはそのインスピレーションに従って行動するだけです。
何かの参考になればと思います。
まとめ
ちょっとオカルトっぽい話かもしれませんが、キチンの脳科学の中で実証されている話です。
有名な話としては『スタンフォード監獄実験』という心理学の実験で、大学の生徒に囚人役と看守役をリアルに演じさせたところ、看守役が役にのめり込んでしまい、囚人役をボコボコにするという事件も起こっています。
これは悪い例ですが、つまり「私は生徒である」という思考が「私は看守である」という行動によって、思考と行動にズレ(認知的不協和)が生じてしまいました。
実験の中で看守役を演じ続けた人は「私は看守である」という自分を選び、「看守だから囚人を痛めつけるのは義務だ」と思考を変えてしまい(認知的不協和の解消)、本当に看守になってしまったということです。
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