新型コロナウイルスによって世の中の動向はますます見通しがつかなくなってきました。
今回はメルマガの中でも質問の多い、不安や恐怖といった感情との向き合い方について深堀りしていきます。
- 自分に自信がなく、ネガティブな感情が多い
- 将来に不安や心配事が多い
- 目標に向けて行動しようと思っても行動できない
Contents
不安・恐怖・焦りの正体とは?
自分の想像力とどう向き合うか
不安・恐怖・焦りの原因は千差万別ですが、結論から先に言ってしまうと、不安・恐怖・焦りなどは自分の想像力の中にあります。
この話について、もう少し深堀りしてみましょう。
たとえば、高校の時に「東大は偏差値が高い。東大に受かるなんてすごい。」と聞いたことはないでしょうか。
そういう噂話だけ聞いているだけでも、東大というイメージが自分の中で膨らんでしまって「自分みたいな人間が東大に合格するなんて無理だ」とか「東大はハードルが高いから無理」なんていうような抵抗意識が生まれてしまうかもしれません。
抵抗意識が生まれると、始める前から「無理」とか「難しい」というノイズが頭の中に生まれてしまって、自分の行動を制限してしまいます。
しかし、これは”事実”なんでしょうか?
たしかに東大は日本で一番偏差値が高い大学と言われていますが、小学1年生にとって6年生の問題が難しいのは”事実”でも、高校3年生にとって小学6年生の問題が簡単なのもまた”事実”です。
このように“事実”とは主観によるものなので、一定ではないんですね。
目標を実現する前、達成する前、挑戦する前っていうのは、物事は大抵不可能に感じます。
だからこそ、不安になったり、恐怖を感じたり、焦りを感じる。そして行動できなくなる。
「未来」というものも同じです。
確定していない未来について、いろいろ考えていると老後の不安とか、将来の日本とか、政治の不安定さとか、心配な要素は考え尽くすことができないくらいたくさんあります。
しかし、気づいて欲しいのは、それらは”事実”ではなく”自分の想像力”という点です。
つまり、不安・恐怖・焦りは事実ではなく、自分の頭の中に存在する”想像”ということです。
不安・恐怖・焦りは消すことができない
ゼロにしようとするから「悩み」になる
よく「不安を消す方法」とか「恐怖心に打ち勝つ方法」とか、そういった類の本とかを書店で見かけます。
もちろん、それはある程度マーケティングを想定した”売るためのタイトル”なのでしょうが、個人的にはちょっと違和感があります。
(ぼくも過去のブログタイトルに使ったことがあるかもしれないけど。笑)
というのも、不安があること、恐怖があることがあたかも異常であるようなニュアンスが含まれているからなんですね。
ちょっと考えればわかることなんですが、不安や恐怖を感じないって、それはそれで異常なんですよ。
たとえば、トラやライオンが襲ってきても不安や恐怖を感じずに逃げないなら、とっくに人間は滅びているわけです。
つまり、不安や恐怖を感じるというひとつのスキルであり、生き延びるために必要な能力ってことですね。(※)
不安や恐怖っていうのは何かしらのシグナルであり「注意深く進めよ!」という心のセンサーが反応しているんですね。
- 新しいことに挑戦したいけど、不安
- 好きな人に告白するとき、怖くなる
- 入試試験の当日、ドキドキする
これってどう考えても”正常”でしょ?
もしこの感覚がなかったら、人生はなにも面白くない。
すべてが何も感じないことになってしまったら、人生はつまらない。
しかし、多くの人は「不安・恐怖・焦りを消したい、これさえなければ」と思ってしまう。「不安・恐怖・焦りを消したい」という思いが”悩み”になってしまう。
けど、これはイタチごっこなんですね。
なぜなら不安・恐怖・焦りが0(ゼロ)、まったくないという状態なんてないからです。
生きているかぎり、付き纏うものだし、それが正常なんですよ。だから、それらの感情はあってOK。
..
とはいえ、不安・恐怖・焦りが必ずしも人生にとっていい影響を及ぼすとは限らない。
ここが問題なんですよね。
場合によっては自分の目標を邪魔する壁になることもある。というか、安全な現代社会ではむしろ日本の本能である心のセンサーは邪魔になることが多い。
不安にならなくていいことでも、不安になってしまったり。
じゃあ、その不安・恐怖・焦りといった心のセンサーをどうやって乗り越え、自分の人生を自分の望む方向に導いていくのか?
(※)参照:恐怖や不安の感情を失うと、生存確率は大きくさがる––人間を支配する「感情」というシステムを知る – ログミーBiz
不安・恐怖・焦りに対処法4ステップ
では、具体的な不安・恐怖・焦りの乗り越え方を紹介します。
詳しい解説はこのあとにしますが、最初に頭に入れておくと後に紹介している解説がもっと腑に落ちると思うので、まずは対処法を紹介します。
ステップ①.感情と思考を上から見つめる
まず、不安や恐怖を感じたときは、その感情を消そうとか避けようとするのではなく、観察してみてください。
思考も同じように、悪い未来を想像したり、過去の嫌なことを思い出してしまったら、それを観察してみてください。
ステップ②.事実だけをピックアップする
自分が抱えている不安や恐怖、悩みなど、感情や思考を観察してその中から”事実”をピックアップしてください。
ちなみに事実とは、今現在実際に起こっている状況のことです。
「昔から自分は気が弱くて」とか、「どうせ自分の将来は…」といった過去の記憶や未来の予想は、事実ではありません。
ここでピックアップするのは、今現在起こっている”事実”だけです。
つまり、今現在自分が対処するべき”本当に大切なこと”です。
ステップ③.目的地を決める
今現在自分が対処するべきことがピックアップできたら、次は「どうしたいのか?」について考えます。
つまり、ステップ①は高い視点から全体を見渡す作業、ステップ②は現在地を確認する作業、ステップ③は目的地を決める作業です。
④.感情と思考の外側の意識で行動する
最後にステップ③で決めた目的地に向かって行動するステップです。
行動しようと思うと、また不安や恐怖といった感情が出てくるでしょう。
行動しようと思った途端、自分がうまくいっているイメージができずに失敗するイメージが先行してしまうかもしれません。
心とはもともと臆病、そんなもんです。
しかし、大切なのはその感情や思考に飲み込まれないこと。
ステップ①と同じように、高い視点から見る。
感情や思考を外側から観察している自分で行動しましょう。
自分の心を支配しているものに気づく
感情・思考=自分、ではない
ここまで読んでもあまりピンとこない人もいるかもしれません。
頭の中にある意識の話なので抽象的でわかりづらいですよね。
なのでもう少し詳しく解説します。
僕ら人間は、不安になったり恐怖に怯えたりするとき、「自分は不安症だ」とか「自分は臆病だ」という風に、自分=感情と決めつけてしまうことがあります。
または、「自分はどうせうまくいかない」といったネガティブな思考を事実としてしまいがちです。
これらの感情や思考を”消す”のではなく、高い視点から”観察”してみてください。
“観察”という視点に立つと、その感情や思考があなたを小さく閉じ込めていることに気づくでしょう。
もっと大事なのはここからです。
感情と思考の外側にある「自分」を意識する
もう一人「自分」に気づく
人間は1日に約7万回思考すると言われていますが、思考することや感情が沸くことは生きていれば当たり前のことなので、「観察」という視点で見る機会はあまりないと思います。
しかし、感情や思考を観察していると、”観察している自分”というひとつ上の視点にいる自分の存在に気づくと思います。
ちょっと表現がオカルトっぽいかもしれませんね。ですが、シンプルに考えてみてください。
感情や思考に飲み込まれていた時は、”感情・思考=自分”だったかもしれません。
でも、感情や思考を観察している自分を認識できたとき、”感情・思考=自分”ではなくなります。
観察している感情や思考に飲み込まれていない別の自分が存在することに気づくはずです。
有名な哲学者であるデカルトが残した「我思う、故に我あり」という言葉のように、“自分の意識を観察する自分”が存在するということです。
つまり、恐怖や不安、焦りを”自分”と定義するのではなく、それを意識している観察者を”自分”とする。
そこにも確実に”自分”が存在しますよね。感情に流されているだけではない”自分”が。
その”自分”を意識できた途端、あなたの人生は感情に流されるだけの人生ではなくなります。
最初は慣れないかもしれませんが、ネガティブな感情に流されそうなときはその「観察者の自分」を意識してみてください。
恐怖・不安・焦りが事実ではなく、自分の内側で起こっている現象の一部でしなかないことに気づくはずです。
この感情や思考の外側の自分という意識を育てる価値は、人生を充実させるうえでかなり価値が高い。(しかも今ここから0円でできるのでお得!笑)
これに気づくと自分の行動や思考は波に流されることが少なくなり、人生において自分の行きたい方向へ舵を切れるようになります。
感情や思考はコントロールできない
感情や思考とうまく付き合う
最初に紹介したように、多くの自己啓発系の本では「不安や恐怖心を消す方法」といった風に表現します。
これは違和感がある。
だって人間なんだから、不安や恐怖ごとがあって当然です。
それらは、自分を守るためのシグナルようなもので、この機能がなくなったらそれはそれで不便なんですよね。
しかも、消そうと思って消せるものではありません。
消そうと思っても不安や恐怖といった感情は出てくるため、イタチごっこになってしまいます。
不安や恐怖、焦りや心配事は生きている限りでてくる。人間として一生つきまとうもの。
そのため、消そうとするのではなく、うまく付き合うのが個人的にベストな回答だと思っています。
消そう消そうとしても必ずどこかで湧いてくるから、「不安を消そう」と不可能なことに時間を費やして人生が終わってしまいます。
だから、「消そう」としなくてOK。
今回紹介したように、感情や思考という場所から一段高い場所に登ってみる。
そしてそこから感情や思考を眺めると「ああ、怯えている自分がいるな」とか「自分はこんな未来を想像していたのか」とか、観察者となることができます。
その観察者を認識する自分もまた存在するわけですよね。
その自分が意識できるようになったら次のステップです。
自分の人生の操縦者になろう
自分の中にある三つの脳
脳科学の世界には、ポール・D・マクリーンという神経科学者が書いた『三つの脳の進化』という有名な本があります。
脳の三位一体モデルとも言われていますが、その本によると、人間には、下記の3つの脳があるといわれています。
- 爬虫類脳
- 哺乳類脳
- 人間脳
あくまでも仮説で、脳科学の研究が進むごとに修正が加えられていますが、それぞれの脳には役割があると言われています。
爬虫類脳 | 反射脳、生きるための脳 |
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哺乳類脳 | 情動脳、感じるための脳 |
人間脳 | 理性脳、考えるための脳 |
人類の進化の過程を辿れば、最初にできたのが爬虫類脳、次に哺乳類脳、その次に人間脳の順番です。
爬虫類脳は血液を流したり、心臓を動かしたり、意識する・しないに関わらず自動的に人間の生命維持に関する働きをしているのでいったん置いておきましょう。
問題は、哺乳類脳と人間脳の意見が矛盾することがあるということです。
「健康のためにダイエットをしよう!」と人間脳が提案しても「あのケーキ美味しそう!食べたい!」と哺乳類が抵抗するわけですよね。
今回紹介した内容もこの脳の構造に当てはめるとわかりやすくて、感情に飲まれている状態というのは、情動脳が優位になっている状態です。
何度も言いますが、それが悪いわけではありません。
情動(感情)は人生を楽しむうえでとても大切です。
ただし、感情に流されてしまうと、ときには自分の向かいたい方向にいけない時がある。
そのときに道を修正するのが人間脳・理性脳です。
一度静かな部屋やカフェで、自分の感情や思考を観察してみてください。
観察する自分の存在に気づくと思いますし、その存在を『自分』と定義すると、感情に流されていた時の自分よりも大きい存在になれると思います。
別の記事ではネガティブな思考のループから抜け出すコツについても紹介しています。
気になる方はこちらも読んでみてください。
では今日はこれで。
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