「相手が自分の話を聞いてくれない、受け入れてくれない」
という相談をいただきました。
僕はプロライターとして、『伝える』ということを学ぶために大量の時間とお金をかけて学びました。
結論から言うと、相手に何かを伝えたいとこに大切になるのは
- ①自分と相手の信頼関係(ラポール)
- ②自分と相手との共感が取れているか
- ③理論的に話されているか
- ④相手の人生に密接に関わっている話かどうか
この4つです。
正直、僕は伝えるということを学び出して人生が激変したタイプの人間です。
『伝える』というと、「そんなの日本語が喋れれば誰にでもできる」と思うかもしれませんが、伝え方によって人生の質は100%変わります。
今年亡くなれれましたが、小池一夫さんの下記のツイートは印象的でした。
自分の思いを伝える事ができる言葉を知らないということは、本当に悲しい。ある未成年の殺人犯が、「殺害した○○君の分まで長生きしたいと思います」と公判で発言して、大変な非難を浴びた。多分「命を奪ってしまった○○君の未来を想い、死ぬまで反省しながら生きていきます」と言いたかったのに。
— 小池一夫 (@koikekazuo) 2019年4月16日
このように、伝え方だけで印象って変わるんですね。
この記事では『相手にキチンと伝える』というテーマについて語ろうと思います。
理論だけでは世界を変えられない
よく男の人がやってしまいがちなことで、僕自身もいまだにやってしまうこととして『理詰めで語る』ということがあります。
つまり正論を語るということです。
もちろん相手を説得したり、納得してもらうためには確実に理論は必要です。
しかし、全てが理論では伝わらないということだけ覚えておいてください。
例えばもし全ての人に理論的な話が通じるならば
- 車は排気ガスを輩出するので使うのをやめましょう
- 生活習慣病を改善するには毎日運動しましょう
- 人をいじめるのはやめましょう
というようなことは簡単に通じ、世界からほとんどの問題はなくなっていると思います。
でもそうでないのが実情ですよね。
なにかを相手に伝える時には『理論』は必要ですが、理論だけでは聞いてくれない。
「なんでそんな理不尽で不合理なの!?」
と思うかもしれませんが、もともと人間は理不尽で不合理な生き物だからと言うのが答えになります。
世の中は想像以上に『理論』ではなく『感情』によって動いているということです。
①相手は自分のことを信頼してくれているか?
じゃあどうやったら相手に伝わりやすくなるのか?というと、哲学者のアリストテレスが提唱した『弁論術』というものがあります。
アリステレスは人に話を聞いてもらうには、下記の3つが重要だと説きました。
- 1.エスト(話し手の人柄)
- 2.パトス(聞き手の感情)
- 3.ロゴス(言語そのものの理論)
参照:アリストテレス 弁論術より
これは1から3まで重要な順番で並んでいます。
つまり一番大切なのは『話し手の人柄』ということです。
心理学では『ラポール(信頼構築)』と言われていますが、自分と相手の間に信頼関係があれば、目の前の相手は自分の話に耳を傾けてくれます。
そして、自分の言いたいことがすんなりと伝わります。
伝わるどころか、多少おかしな理論だとしても受け入れられることさえあります。
例えば、自分が大好きな芸能人がいたとしましょう。
テレビで見たその芸能人の人柄でファンになったとします。
ファンになるとその芸能人の言うことを受け入れるようになります。
例えばテレビCMにその芸能人が出ていたら、「〇〇さんが出ているから、きっといいものだ!」と思うようになる。
「私は〇〇には反対です」と世間の意見に反対すると「確かに」と思うようになる。
そこに正確さとか理論とかがなくても、相手のことを信頼しているとその人の意見を聞き入れやすくなります。
逆に信頼関係ができていなければ、自分の言いたいことが理論的に正しくても、相手は「いや。でも…」と聞き入れてくれないということです。
『何を言うか?』よりも『誰が言うか?』を重視するということです。
まず一番重要なのは『話し手の人柄』これはとても大切です。
②相手の感情はどんな状態か?
2つ目に大切なのは、『相手の感情』です。
人間の脳には理性を司る部分と、感情を司る部分があります。
どちらが強いのか?というと、圧倒的に感情を司る部分の方が強いです。
もし理性の方が強ければ、世の中はもっと機械的になっています。
人は感情があるから笑うし、泣くし、喜ぶし、落ち込みます。
相手に話をするとき、ついつい理論を全面に押し出してしまいがちですが、相手の感情を観察することはとても大切です。
例えば感情的に怒っているクレーマーに理論を押し付けても、余計に怒ってしまいます。
「いや、ですからお客様、うちのお店のマニュアルでは〜…」
といっても
「うるさい!マニュアルなんて知るか!こっちは被害者だ!」
と何を言っても通じません。
なので、まずは相手の感情を癒す必要があるんですね。
この時に大切なのは『共感』です。
人は皆「自分のことをわかってほしい」という欲求を持っています。
共感することで相手の中で感情が収まり、理性的な脳が働くようになります。
例えばクレーマーの場合、最初から論理的に話すのではなく
「そんなことがあったんですね。お怪我はありませんでしたか?それはお怒りになるのも無理ありません。すぐにこちらの不備がないか調べさせていただきますね」
という風に、相手の怒りに共感してあげることです。
自分の言いたいことを言いたくてこのステップを飛ばしてしまいがちですが、『共感』によって話が通じるか、通じないかの確率は格段に違ってきます。
わかりやすいところで言えば、自分が好きな人も、あなたのことを理解してくれる人、あなたが共感できる人だと思います。
あなたが好きなアーティストの曲は、「この歌詞わかる〜!」と言うような内容でしょう。
自分が仲がいい友達も「わかるわかる!」と共感してくれる人でしょう。
自分が尊敬している先生や先輩も「この人自分のことわかってくれてる。」と思う人だと思います。
逆に嫌いな人は自分のことを理解してくれない人なはずです。
2つ目に大切なのは、相手の感情です。
感情を理解し、共感してあげることが大切です。
③話はわかりやすく、腑に落ちるものか
①の『話し手の人柄』②の『相手の感情』、この2つが整ってからやって理論的な話が最大の効果を発揮します。
もちろん理論とは主観的な感想ではなく、裏付けされたデータなどが必要です。
特に注意するべき点として、専門用語はなるべく避けるべきです。
というのも、相手の頭の中にない単語や概念は相手には通じないからです。
例えば、南米のアマゾンの奥に住んでいる人に「iPhone」とってもなんのことだかわからないはずです。
なぜならiPhoneという概念自体が頭の中にないからです。
①で信頼してもらい、②で相手に聞く姿勢になってもらう、そうすれば③も圧倒的に効果を発揮するので、やっぱり大切なのは①と②ですね。
④その話は相手の人生にどう関わっているか?
そして最後は「その話は相手の人生にどう関わっているか?」です。
これは僕がライターとして文章を書く時にかなり意識していることです。
人は自分の人生に関わっていない話には”リアリティ”を持てないのです。
例えば、ダラダラ仕事をしている会社の部下に
「早く仕事を終わらせてくれよ。じゃなこっちの仕事も終わらないんだよ〜!」
と言ったとします。
これは、言っている人(上司)の要求を言ってますよね。
極論をいうと部下は「あんたの都合なんか知るか!」と感じるということです。
じゃあ相手に刺さる伝え方とはどういう伝え方か?というと
「その仕事が早く終わったら休憩時間長めにとっていいよ〜。だからさっさと済ませちゃえよ〜。」
という感じです。
何が違うか?というと、「早めに終わったら“あなたの”時間自由な時間が増えますよ」と相手に関わる伝え方をしています。
つまり、どれでだけ相手に自分ごととして捉えてもらえるかが大切だということです。
リアリティが上がれば相手の心は自然と動く
相手の人生に関わる事として話すと、相手にとってリアリティのあるものになり、感情が動き行動を変化してくれることがあります。
例えばわかりやすい話でいうと消費税の増税です。
消費税の増税は国民全員が関係あることなので、増税の賛否の声はSNSなどでもよく見かけられます。
しかし、実際の投票率を見ると年々右肩下がりです。
つまり『政治家の当選、落選』という部分は自分の生活との繋がりが見えないですが、『消費税の増税』という部分は自分の生活に密接に関係していると感じるので感情が動くということです。
これを学校で当てはめると、大学に行く気がない子供に
「勉強しないといい大学に行けないよ!」
と言っても話は伝わりません。
でも、その子供がサッカーが好きで早く授業を終わらせて部活に行きたいと思っていたとします。そうすれば
「集中して終わらせたら授業も早く終わります。そしたら部活に行っていいですよ。だから頑張りましょう」
というと、喜んで授業に集中するはずです。
④その話は相手の人生にどう関わっているか?
これは相手に何かを伝える上で強力な力になります。
まとめ
今回はかなりザックリまとめましたが、『伝え方』に関しては僕は人の何倍も悩み、苦しんみました。
今現在でも勉強中の部分もあります。
『伝え方』というテーマのセミナーであれば多分10時間ぶっ通しでもできると思うくらいです。
今後も伝え方に関しては人間関係のカテゴリーでシェアしていきますね。
今日はこれで。
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